ポケモン 21年目でマンネリなし
夏休みにぴったりの映画、
最新22作目『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』(公開中)は、
1998年に公開されたポケモン映画第一作
「劇場版ポケットモンスター ミューツーの逆襲」を
全編フル3D CG映画として新しく描いています。
長く愛される映画の秘密は、
人気キャラクターの他にもあるようです。
こちらの映画に出演中の3人、
ムサシ役(林原めぐみ)、
コジロウ役(三木眞一郎)、
インタビューを拝見しました。
3人で一人前のロケット団
3人の役柄は、ゆるーい悪役でおなじみの「ロケット団」
テレビアニメ、映画シリーズともに
20年以上出演しているロケット団。
主人公のサトシやピカチュウ、
仲間たちの前に悪役として立ちはだかるも、
ドジを踏んだり、息の合った掛け合いで
見る人を和ませています。
実際映像化されている中には、
脚本にないセリフが実は多くあるようです。
それは「次のカットはこうしない?」
という話し合いがあるわけではなく、
3人のリアルな関係性、
心の距離感、空間などが成しえる雰囲気のようです。
だからこそ、演者側の信頼関係が
視聴者に面白く伝わっているのかもしれませんね。
悪役の意識はない
「悪の組織 ロケット団」ですが、
3人とも口をそろえて言うには、
「悪役を担当している意識はない」そうです。
そもそも話の中では
「ピカチュウをゲットする」という職務が
「盗む」ということで
悪役とされていますが、
3人にしてみればサカキ様の命令で
任務を遂行するという使命感が大きいわけです。
しかもそれが21年なかなかうまくいきません。
人間味あふれるキャラクターに描かれています。
3人とも涙もろく、
義理人情に厚い、
そんなところが人々に
愛されるキャラクターの所以
なのかもしれません。
お決まりのシーンにもマンネリなし
主人公のサトシは、
新シリーズを迎えるごとに
様々なポケモンや仲間たちと、
新地方に旅立ち、成長していきますが、
ロケット団はというと、
「ピカチュウをゲットする」という使命だけで、
行動に変化もなく、
毎回サトシにやられて空へ飛んでいくという
お決まりのお約束があります。
そのシーンは、マンネリに見えても、
演者側がマンネリしていると考えたことがなく、
モチベーションがとても高いそうです。
3人は長年の関係性で、
信頼関係や尊敬の気持ちが増し、
それが結果として
ロケット団の行動がワンパターンであっても、
演者は成長し続けており、
マンネリを感じさせないのだといいます。
ロケット団は1日にしてならず
アドリブで成り立つシーンを
後輩からうらやましがられることもあるそうです。
そんな時、林原さんは
「ロケット団は1日にしてならず」
と伝えているそうです。
簡単そうに見えることも、
実は長年の積み重ねがあってのこと。
声優さんに限らず、
人生の格言ともいえそうですね。
ポケモンの原点回帰
今作は第一作のリバイバル作品。
21年前の作品ですが、
決して子供向け映画ではくくれない、
人間の根本的な問題が描かれています。
子どもが理解するのは難しいのではないか、
と勝手にキャパシティーを決めて発信せず、
多くの人に見てもらいたいという
制作側の意思を感じます。
この作品のテーマは、
最強のポケモン、
ミューツーが心に抱える葛藤や、
人類への逆襲です。
自分を生み出してくれた人類への
逆襲が描かれているわけです。
こんな悪役が出てきたら、
ロケット団の悪はかすんでしまいそうですよね。
しかしゆるいからこそ、
その存在は必要で、
大人でも考えてしまうような緊張感ある内容を
少し柔らかくしてくれる重要な登場人物なのです。
21年前、子供としてこの映画を楽しんだ人も、
今度は大人としてこの映画を観てみると、
まったく違う面が見えてきたり、
また新しい楽しみ方があるのではないでしょうか。